受験の神様はきっといる。必死で頑張っている人に、ちょっとした奇跡が起きるところを何度も見てきた。「入試の3日前にたまたま勉強したところが出ました!」とか「先月から力を入れて勉強していた有機化学の問題が、今年は多かった。」なんていう話は毎年のように聞く。どうやら、一生懸命やっている人にそういう現象が起こりやすい。

 実は私もそんな経験がある。共通テスト(当時は共通一次)の前日に、気分転換で散歩に出かけた先でたまたま立ち寄った本屋で、たまたま手にした倫理社会の参考書がどうしても気になり、2~3ページだけ気休めに立ち読みすることにした。ぱっと開いたページは「和辻哲郎」。まさか出題されないだろうと思いながら、せっかくだからと読んだのだ、まさにビンゴ。その年は、「和辻哲郎」の大問が出題されたのでした。でも、よく考えてみると、本気で勉強している人は、一週間、一ヶ月の学習量がものすごいので、最後の10日で復習をした問題が数問出題されるのは当たり前といえば当たり前だ。最後の10日で勉強した内容が全くでない方が、かえっておかしいのだ。


 ところで、このようなものすごい量をこなせるようになるにはどうしたらよいか。それには、まず始めの一歩を踏み出すことだ。「1分でできることは何だろう?5分でできることは?」と自分に問いかけよう。問いかけるだけなら、誰にでもすぐできる。そして、「1分、5分」が、始めの一歩の目安としてはちょうどいい。新しい習慣を始めてみよう。例えば、教科書読み。毎日30分だと挫折しがちな人も、5分ならできる。こうして小さな習慣を積み上げていこう。必ず、それは大きな力となる。

 「1分でできることは何だ?5分でできることは?」と問い続けると、必ず小さな変化が訪れる。これは、すでに猛勉強している人も、まだ少ししか勉強していない人にも有効だ。お試しあれ。

 さて、受験の神様だが、きっといる。自分の中にきっといる。神様に、そっと尋ねてみよう。
 「今の私の勉強量は十分ですか?1分で、何かできることありませんかね?